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Webマーケティング

インサイドセールスが電話する前に「Webサイトのどこを見るべきか」

テレアポやインサイドセールスの電話が、なぜ「ガチャ切り」されるのでしょうか。それは、受話器の向こうの相手が、あなたの電話を「不特定多数への営業電話(ノイズ)」だと瞬時に判断するからです。
「お世話になっております、〇〇株式会社の…」という定型的な挨拶の裏に、「どうせウチの事業内容も知らずにかけているんだろう」という透けた下心が見えてしまっているのです。

逆に、優秀なインサイドセールス(IS)は、最初の10秒で「おっ、この営業はウチのことを理解しているな」と思わせるフックを持っています。
そのフックを作るためのネタ元こそが、架電先の「Webサイト」です。しかし、多くのIS担当者は、トップページの綺麗なキャッチコピーだけを眺めて、「御社のビジョンに共感しました」などとピントのズレたお世辞を言ってしまいます。これでは逆効果です。

ビジネスの課題(=商談の種)は、トップページのような表玄関には落ちていません。もっと生々しい、裏口や勝手口にこそ落ちています。
今回は、インサイドセールスが架電前のたった「1分」でチェックすべきWebサイトのポイントと、そこで得た情報をどうトークに転換するかという、極めて実戦的なテクニックを解説します。

トップページを見るな。「採用ページ」を見ろ

もし、架電前に1ページしか見る時間がないとしたら、迷わず「採用情報(Recruit)」をクリックしてください。ここには、その企業の「現在の痛み」と「未来の投資先」が、嘘偽りなく書かれているからです。

募集職種=経営課題そのもの

企業が人を募集するということは、その領域のリソースが足りていない、あるいはこれから注力しようとしている証拠です。
例えば、「1人目のマーケター募集」という求人が出ていれば、「マーケティング組織が未整備で、社長や営業部長が兼務して疲弊している」という仮説が立ちます。
「インフラエンジニア急募」であれば、「サーバー周りのトラブルか、クラウド移行のプロジェクトが走っている」可能性が高いでしょう。
この仮説を持って電話をするのです。「マーケティング担当者様はいらっしゃいますか?」ではなく、「現在、マーケティング体制の立ち上げで求人を出されていますが、専任の方が決まるまでのリソース不足にお困りではないですか?」と切り出す。これだけで、受付突破率と担当者の食いつきは劇的に変わります。

「求める人物像」から組織風土を読む

採用ページの「先輩社員の声」や「求める人物像」には、その会社のカルチャーが色濃く反映されます。
「未経験でもガッツがあればOK」と書かれているなら、若手が多く勢いのある組織でしょう。論理的な提案よりも、熱意やスピード感を重視したトークが刺さります。
逆に「論理的思考力を重視」とあれば、情緒的なアプローチは嫌われます。数字と事例(ファクト)で簡潔に話すべきです。
相手の「言語コード」を合わせるためのヒントは、すべて採用ページに落ちています。

2つ目の鉱脈は「ニュースリリース」と「IR情報」

次にチェックすべきは、最新の「ニュース(お知らせ)」や、上場企業であれば「IR資料(決算説明資料)」です。ここには、予算が発生するタイミング(Buy Signal)が隠されています。

変化のタイミングを捉える

「オフィス移転」「資金調達」「新製品リリース」「役員人事の変更」。これらのニュースはすべて営業のチャンスです。
オフィス移転なら、インフラや備品の見直しが発生します。資金調達直後なら、投資モードに入っており、新しいツールの導入に前向きです。
「プレスリリースを拝見しました。シリーズBの調達おめでとうございます。今回の資金で〇〇事業を加速されるとのことですが、それに伴う人材採用の課題はありませんか?」
このように、相手の「おめでたいニュース」を枕詞にすることで、電話の印象をポジティブにしつつ、スムーズに課題ヒアリングへ移行できます。

IR資料は「中期経営計画」だけ見る

上場企業の場合、数百ページの決算書を読む必要はありません。「中期経営計画」の「重点投資領域」の1ページだけ見てください。
そこに「DX推進」「海外展開」「コスト削減」といったキーワードがあれば、それが社長のコミット事項です。
現場の担当者が「予算がない」と断ろうとしても、「中期経営計画でDX推進が掲げられていましたが、現場では具体的なツール選定は進んでいない状況でしょうか?」と返すことで、「会社の決定事項」という視座から話を戻すことができます。

ここで、もし自社のインサイドセールスチームがWebサイトの情報をうまく拾えていない、あるいは自社のサイトがこうした情報を発信できておらず機会損失を生んでいると感じるなら、一度ご相談ください。BtoBマーケティングの全体設計から見直します。

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「導入事例」からテックスタック(利用ツール)を盗む

Web制作会社やSaaSベンダーの営業なら、相手が「どんなツールを使っているか」を知ることは極めて重要です。
これは「導入事例」や「パートナー企業」のページ、あるいはソースコードを見ることで判明します。

競合ツールの利用状況を確認する

相手のサイトに「MAツール〇〇を活用して成果が出ました」という事例インタビューが載っていれば、すでにそのツールを導入していることがわかります。
ここで「MAツールを入れませんか?」と電話するのは無知の極みです。「現在〇〇をお使いかと思いますが、運用上の課題(例:機能が多すぎて使いこなせない等)はありませんか?」と、リプレイス(乗り換え)や併用を提案するトークに切り替える必要があります。
また、サイトのフッターに「Powered by Shopify」や「HubSpot」のロゴがあれば、その周辺ソリューションを提案するフックになります。

仮説なき「サイト見ました」は逆効果

最後に、最も重要なマインドセットをお伝えします。Webサイトを見る目的は、単なる「情報収集」ではなく、「仮説構築」です。

点と点を繋いで「ストーリー」を作る

「採用ページを見ました」「ニュースを見ました」。ただ事実を伝えるだけでは、「で、何?」と言われて終わりです。
「採用ページでエンジニアを募集しており(事実A)、かつニュースで新サービスの開発を発表されていたので(事実B)、今は開発スピードを上げたいフェーズだが、人手が足りずボトルネックになっているのではないか(仮説)と考え、お電話しました」
ここまで言い切って初めて、相手は「よく調べているな、話を聞いてみよう」となります。
Webサイトの情報(点)を、あなたの商材と繋げるストーリー(線)に変換する能力こそが、インサイドセールスの腕の見せ所です。

Webサイトは「企業の健康診断書」である

インサイドセールスが電話をする前にWebサイトを見る。これは、医師が診察前にカルテやレントゲンを見るのと同じです。
どこに不調があるのか、どこが健康なのか。それを事前に把握せずにメス(電話)を入れるのは、ヤブ医者であり、相手にとって迷惑でしかありません。

そして、逆もまた然りです。
もし、御社のWebサイトがスカスカで、採用情報も更新されておらず、ニュースも古いままだったらどうでしょうか。
優秀なパートナー企業や顧客は、御社のサイトを見て「この会社は停滞している」「情報がないから提案しづらい」と判断し、静かに去っていきます。

インサイドセールスが「見たくなる」サイト。それはつまり、顧客やパートナーからも「信頼される」サイトです。
攻めの営業を強化するためにも、まずは自社の守りであるWebサイトの情報設計を見直してみませんか。
「営業が使いやすいサイト」「顧客が問い合わせたくなるサイト」。その両輪を回すWeb戦略を、CagraPROが構築します。

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著者:清宮 雄(株式会社カグラ 代表取締役) マーケティング、ブランディングおよび企業経営の領域において20年以上の実務経験を有する。国内外にてIT事業および教育事業を展開。