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Webマーケティング

展示会で配るチラシとWebサイトのトンマナがずれている弊害

展示会という非日常の空間では、企業もつい「熱」が入ります。

集客したい一心で、派手な色使い、大きな文字、勢いのあるキャッチコピーで飾られたチラシを急造する。コンパニオンや営業マンが汗をかいてそれを配り、なんとかQRコードを読み込んでもらう。

しかし、その直後にお客様のスマホ画面で起きている「悲劇」をご存知でしょうか。

チラシのQRコードからWebサイトに飛んだ瞬間、「あれ? 違う会社かな?」と違和感を覚え、そっと画面を閉じる。この「直帰」が、展示会の裏側で大量発生しています。

原因は明白です。手元の「チラシ」と、飛び先の「Webサイト」のトンマナ(トーン&マナー:デザインや世界観のルール)がズレているからです。

ポップで親しみやすいチラシを見て興味を持ったのに、Webサイトは堅苦しくて無機質。あるいは、チラシでは「革新性」を謳っているのに、Webサイトは古臭いデザインのまま。このギャップは、お客様に「裏切られた」という感覚すら与えかねません。

本記事では、多くのBtoB企業が見落としている、オフライン(チラシ)とオンライン(Web)のデザイン不一致が招く「見えない損失」と、それを防ぐための統合ブランディングについて解説します。

トンマナのズレが引き起こす「3つの損失」

「デザインが少し違うくらい、大した問題ではないだろう。商品が良ければ売れるはずだ」。もしそうお考えなら、それは人間の認知心理を軽視しています。

人間は、無意識のうちに「一貫性」に信頼を置きます。逆に、入り口と出口で顔が違う相手に対しては、本能的に警戒心を抱きます。この心理的ブレーキが、具体的なビジネス損失につながります。

1. 「認知コスト」の浪費による離脱

展示会会場は情報の洪水です。来場者は数秒で企業の印象を記憶します。「あの赤いロゴの、元気な会社ね」とインプットされた状態で、Webサイトを開いた時に「青い、静かなサイト」が出てきたらどうなるか。

脳は「情報が一致しない」と判断し、混乱します。「読み込み間違えたかな?」と再確認する手間をかけるほど、来場者は暇ではありません。その瞬間に思考を停止し、離脱します。チラシで稼いだ「興味」という資産を、Webサイトのデザインがドブに捨てているのと同じです。

2. ブランドへの「不信感」の醸成

一貫性のなさは、「社内の連携が取れていない」という事実を露呈させます。

「営業部が勝手に作ったチラシ」と「広報部が管理しているWebサイト」。この縦割り構造が透けて見えるとき、顧客は「この会社に発注しても、営業と現場で言っていることが違うトラブルが起きそうだ」と予感します。デザインのズレは、単なる見た目の問題ではなく、ガバナンス(企業統治)の問題として受け取られるリスクがあるのです。

3. 訴求ポイントの「分散」による消化不良

チラシでは「業界最安値!」を強調しているのに、Webサイトでは「高品質なサポート」をトップで謳っている場合。
「安さに惹かれて来た人」は、Webサイトで欲しい情報(価格の詳細)が見つからずガッカリします。入り口(チラシ)で約束したメリットは、着地点(Web)でも真っ先に提示しなければなりません。トンマナのズレは、このメッセージの一貫性までも破壊してしまいます。

これらは、チラシ制作を安易に印刷会社へ丸投げしたり、Webサイトの改修を後回しにした結果起こる事故です。もし、今度の展示会に向けて、チラシとWebの連携に不安がある場合は、無料相談をご活用ください。Web制作会社ならではの視点で、紙媒体も含めたトータルなディレクションが可能です。[ >> CagraPROに無料相談する ]

では、どうすればこの「ズレ」を解消し、展示会の熱気をそのまま成約につなげることができるのか。次章で具体的な解決策を提示します。

「展示会専用LP(ランディングページ)」が最強の解決策

では、既存のコーポレートサイトのデザインを、展示会のたびに作り変えるべきなのでしょうか? それは現実的ではありません。コーポレートサイトには、投資家や既存顧客に向けた「平時の顔」が必要だからです。

ここで最も推奨される解決策が、展示会の内容に特化した「専用ランディングページ(LP)」を一枚用意することです。

チラシの「続き」をWebで語る

このLPのデザインは、徹底して「チラシと瓜二つ」にしてください。
チラシで使ったメインカラー、フォント、キャッチコピー、そしてメインビジュアル(写真やイラスト)。これらをそのままWebページの上部に配置します。

ユーザーがQRコードを読み込んだ瞬間、手元のチラシと同じビジュアルがスマホ画面に現れる。この「完全な一致」が、ユーザーの脳に「正解のページに来た」という安堵感を与えます。
その安心感の土台があって初めて、ユーザーはスクロールし、チラシには載せきれなかった詳細情報(動画やスペック表)を読み進めてくれるのです。

QRコードの飛び先をトップページにしない

多くの企業が犯すミスが、QRコードのリンク先を「コーポレートサイトのトップ([https://company.co.jp](https://company.co.jp))」に設定してしまうことです。

トップページには、企業理念や新卒採用など、展示会の来場者にとって不要な情報が溢れています。「さっきチラシで見たあの商品はどこ?」と探させる行為は、ユーザーへの甘えであり、UX(ユーザー体験)における悪手です。
QRコードの飛び先は、必ず「その商品の専用ページ」か、前述した「展示会専用LP」に設定してください。ワンタップで欲しい情報に直結させること。これが展示会マーケティングの鉄則です。

LPが作れない場合の「緊急処置」

予算や納期の関係で、どうしても専用LPを作る余裕がない場合もあるでしょう。その場合でも、決して諦めてはいけません。既存サイトに最小限の手を加えることで、トンマナのズレを緩和することは可能です。

■H3:メインビジュアルを期間中だけ「ジャック」する

展示会の開催期間中とその後1週間程度だけで構いません。コーポレートサイトのトップページのメイン画像を、チラシと同じビジュアル(または展示会のブース写真)に差し替えてください。

これなら、エンジニアがいなくてもCMSの管理画面から更新できる場合が多いはずです。「ようこそ、〇〇展示会からのお客様」というメッセージがファーストビューにあるだけで、迷子は激減します。

チラシとWebの担当者を「同席」させる

制作プロセスの問題として、印刷会社とWeb制作会社が分断されていることが諸悪の根源です。
チラシのデザインが確定する前の段階で、Web担当者(または制作会社)にラフ案を共有してください。Web側から「そのフォントはWebフォントにないので、サイトで再現するならこちらのフォントが近いです」といった調整が事前にできれば、完成後のギャップを未然に防ぐことができます。

まとめ:デザインの統一は「おもてなし」である

展示会で名刺交換をし、チラシを渡し、Webサイトを見てもらう。この一連の流れは、お客様を自社の世界へ招き入れる「おもてなし」のフルコースです。

前菜(チラシ)は中華料理だったのに、メインディッシュ(Webサイト)で急にフランス料理が出てきたら、お客様は戸惑います。
最初から最後まで、一貫した世界観でエスコートすること。それが、お客様の「あ、この会社は信頼できそうだ」という確信を育みます。

たかがデザイン、されどデザイン。
その色一つ、フォント一つを揃える配慮が、数千万円の商談の入り口を守っていることを忘れないでください。

CagraPROは、Web制作だけでなく、チラシやパンフレットのクリエイティブ制作もワンストップで対応可能です。オフラインとオンラインの境界をなくし、シームレスなブランド体験を構築したい企業様は、ぜひご相談ください。

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著者:清宮 雄(株式会社カグラ 代表取締役) マーケティング、ブランディングおよび企業経営の領域において20年以上の実務経験を有する。国内外にてIT事業および教育事業を展開。