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社内SEとWeb担当者の役割分担はどうすべき?

中小企業において、ITに関連する業務の境界線は常に曖昧です。「パソコンに詳しいから」という理由だけで、社内ネットワークの管理から、基幹システムの保守、そしてWebサイトの更新やSNS運用まで、たった一人の担当者に集中しているケースをよく見かけます。

しかし、この「なんでも屋」状態は、企業の成長にとって非常に危険な兆候です。社内SE(システムエンジニア)とWeb担当者(Webマーケター)は、使うツールこそ似ていますが、求められるスキルセットとマインドセットは「水と油」ほど異なります。ここを混同したまま兼務させると、セキュリティ事故のリスクが高まるだけでなく、Webサイトが集客の道具として全く機能しなくなります。

今回は、組織の生産性を最大化するための、社内SEとWeb担当者の正しい役割分担と、連携のあり方について解説します。

「守り」のSEと「攻め」のWeb担当者

まず、両者の役割をスポーツに例えて明確に定義しましょう。社内SEはゴールを守る「ディフェンダー(守り)」であり、Web担当者は点を獲りに行く「フォワード(攻め)」です。

社内SEのミッション:安定と安全

社内SEの最優先事項は「システムの安定稼働」と「セキュリティ」です。サーバーが落ちないこと、ウイルスに感染しないこと、ドメインやSSLの契約が切れないこと。彼らの評価軸は「何も起きないこと(マイナスを作らないこと)」にあります。
そのため、彼らは基本的に「変化」を嫌います。新しいプラグインを入れたり、デザインを大幅に変えたりすることは、バグや脆弱性を生むリスク要因に見えるからです。

Web担当者のミッション:変化と集客

対して、Web担当者の最優先事項は「売上の最大化」と「顧客接点の創出」です。アクセス数を増やすこと、問い合わせ(CV)を獲得すること。彼らの評価軸は「プラスを作ること」にあります。
そのため、彼らは「変化」を渇望します。競合に対抗するために新しいコンテンツを増やしたい、使いにくいフォームを今すぐ改修したいと考えます。

この相反するミッションを持つ二つの役割を、一人の人間に押し付けるとどうなるでしょうか。「セキュリティが怖いから新しい施策は打ちたくない」と萎縮するか、逆に「集客のために無茶な改造をしてサイトを壊す」か、どちらかの破綻を招きます。

具体的な業務の切り分けライン

では、実務レベルでどこに線を引くべきか。理想的な境界線は「インフラ(箱)」と「コンテンツ(中身)」です。

社内SEが管轄すべき領域

①サーバー・ドメイン管理:契約更新、DNS設定、サーバーのスペック選定。

②セキュリティ対策:WAFの導入、不正アクセス監視、バックアップ体制の構築。

③システム要件定義:Webサイトと社内基幹システム(在庫管理やCRM)との連携部分の仕様策定。

④ベンダーコントロール(技術):制作会社のエンジニアと対等に話し、技術的な妥当性をチェックする役割。

Web担当者が管轄すべき領域

①コンテンツ企画・制作:ブログ記事の執筆、事例紹介の更新、キャンペーンページの企画。

②UI/UX改善:ユーザー視点での導線設計、デザインの良し悪しの判断。

③アクセス解析・SEO:Googleアナリティクスを用いた分析、キーワード選定。

④ベンダーコントロール(進行):制作会社のディレクターやライターへの指示出し、スケジュール管理。

このように分担することで、SEは技術的な堅牢性を担保し、Web担当者はマーケティング活動に専念できる環境が整います。

もし現在、社内にWeb専任者がおらず、SEの方が片手間でサイト更新を行っている、あるいはその逆の状態であれば、外部パートナーを入れることでバランスを整えるのが賢明です。CagraPROは、特に「攻め」の部分を代行し、貴社のSE様と連携してプロジェクトを進めることができます。

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対立ではなく「相互補完」の関係を作る

役割を分けた上で重要なのは、両者が対立するのではなく、リスペクトし合う関係性の構築です。よくあるのが、Web担当者が「SEは頭が固くて融通が利かない」と嘆き、SEが「Web担当者は技術を知らないのに無茶ばかり言う」と呆れる構図です。これではプロジェクトは進みません。

共通言語としての「ビジネスゴール」

連携の鍵となるのは、共通のゴール設定です。「このWeb施策は、会社の売上を◯%上げるために必要だ」というビジネス上の目的を共有してください。

例えば、Web担当者が新しいMAツール(マーケティングオートメーション)を導入したいとします。SEに対して単に「これを入れたい」と言うのではなく、「営業効率を上げるために必要だ。セキュリティリスクについては事前にベンダーに確認したが、御社の基準で最終チェックをしてほしい」と依頼するのです。

Web担当者はSEの「守りたい」という使命を理解し、SEはWeb担当者の「攻めたい」という意図を技術で支える。この信頼関係があれば、Webサイトは「堅牢かつ、集客力の高い」最強のメディアになります。

リソース不足の場合の「外注」活用法

とはいえ、多くの中小企業では「二人も雇えない」というのが現実でしょう。その場合は、社内の人材の適性に合わせて、不足している機能を「外注」してください。

パターンA:社内に技術に強いSEがいる場合
サーバー管理や保守は社内SEに任せ、Webマーケティング、デザイン、ライティングといった「攻め」の部分を、私たちのような制作会社やコンサルタントに外注してください。SEの方には、私たちの技術的なカウンターパートになっていただければスムーズです。

パターンB:社内に営業・マーケティング担当がいる場合
企画やコンテンツ作りは社内で行い、システムの保守管理、セキュリティ対策、コーディングといった「守り・技術」の部分を、保守契約という形で制作会社に任せてください。

Webは総力戦。一人のスーパーマンに頼らない

「Webのことはアイツに任せてある」という経営者の言葉は、信頼の証のように聞こえますが、実はリスク管理の放棄に他なりません。Webサイトは、技術とマーケティングという、全く異なる二つの専門性が高度に融合して初めて成果が出るものです。

一人の人間にスーパーマンであることを求めるのではなく、役割を定義し、適材適所でチームを組むこと。それが、変化の激しいWeb業界で生き残るための組織論です。

CagraPRO(カグラプロ)は、御社の組織図の「足りないピース」を埋める存在です。SE様の負担を減らす技術サポートも、Web担当者様の武器となるマーケティング支援も、柔軟に対応可能です。「今の体制で本当に大丈夫か診断してほしい」というご相談からでも構いません。まずは御社の現状をお聞かせください。

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著者:清宮 雄(株式会社カグラ 代表取締役) マーケティング、ブランディングおよび企業経営の領域において20年以上の実務経験を有する。国内外にてIT事業および教育事業を展開。