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Webサイト制作

BtoBサイトの「導入事例」インタビューで顔出しNGと言われた時の対処法

BtoB企業のWebサイトにおいて、最強のキラーコンテンツは何か。それは美しいサービス紹介動画でも、社長の熱いメッセージでもありません。「導入事例(お客様の声)」です。

検討段階にあるユーザーは、売り手側の「良いことしか言わないセールストーク」には飽き飽きしています。彼らが真に求めているのは、自分と同じ立場の人間が、実際にそのサービスを使ってどうなったかという「第三者の客観的な評価」です。だからこそ、多くの企業が事例制作に力を入れます。

しかし、ここで担当者を悩ませる最大の壁が立ちはだかります。「インタビューには協力するが、顔出しと実名はNGでお願いしたい」というクライアントからの拒絶です。

「顔写真がないと信憑性が落ちるのではないか」「匿名だと捏造だと思われないか」。その懸念は正解です。しかし、諦める必要はありません。顔出しNG、実名NGという制約の中でも、企画と演出の工夫次第で、信頼に足る強力なコンテンツに仕上げることは十分に可能です。今回は、取材交渉の段階から、記事の制作テクニックまで、BtoB事例における「匿名・顔出しNG」の突破口を解説します。

なぜ「顔出し」が重要なのか。その心理的効果を再確認する

そもそも、なぜ私たちは事例記事に顔写真を載せたいのでしょうか。それは「ザイオンス効果」や「社会的証明」といった心理学的な理由に加え、BtoB特有の「実在証明」が必要だからです。

捏造疑惑との戦い

Web上には、フリー素材の外国人モデルや、どこかのコールセンターの女性の写真を使った、実体のない「お客様の声」が溢れています。ユーザーはこれらを無意識に「広告(嘘)」としてフィルタリングしています。
実際のクライアントの顔写真、それもプロが撮影した高品質なポートレートは、「この取引は実在する」という何よりの証拠(エビデンス)となります。特に、無形商材(コンサル、システム、SaaS)の場合、商品が見えない分、それを利用する「人」の姿が品質保証の役割を果たします。

担当者の「熱量」を伝える

また、成功事例の裏側には、必ずプロジェクトを推進した担当者の苦労や情熱があります。真剣な眼差しや、ほっとした笑顔の写真があることで、記事のテキストに体温が宿り、読者(見込み客)の共感を呼び起こします。顔出しNGは、この「エモーション(感情)」の部分をごっそり削ぎ落としてしまうリスクがあるのです。

安易に「分かりました」と言わない。交渉の余地を探る

顔出しNGと言われた際、すぐに諦めてはいけません。その「NG」が、会社の鉄壁のコンプライアンスルールなのか、それとも担当者個人の「恥ずかしさ」によるものなのかを見極める必要があります。経験上、後者であるケースが半数以上です。

広報部門を巻き込んだ正規ルートでの打診

現場の担当者に「顔写真はちょっと…」と言われた場合、「広報部を通して正式にご依頼すれば、許可が出るケースもございますが、いかがでしょうか?」と切り返してみてください。
大企業であっても、自社の先進的な取り組み(DX成功事例など)が外部メディアに取り上げられることは、採用ブランディングや企業価値向上に繋がるため、広報部門は歓迎することが多々あります。現場の個人の判断ではなく、会社対会社のメリットとして提案することで、NGがOKに覆ることは珍しくありません。

段階的な「条件付きOK」を引き出す

それでも全面公開が難しい場合、妥協案を提示します。
「御社のロゴ掲載は可能か?」
「マスク着用ならOKか?」
「横顔や後ろ姿など、個人が特定できないアングルなら良いか?」
0か100かで考えず、少しでも「リアルな素材」を確保できるよう交渉します。特に「ロゴ」の使用許諾は、顔写真の次に重要です。東証プライム上場企業のロゴが一つあるだけで、その事例の信頼性は担保されるからです。

顔出しNGでも「リアル」を演出する撮影テクニック

交渉の結果、どうしても顔出しが無理だった場合。ここでフリー素材を使ってはいけません。あくまで「その会社に行ってきた」「その人と会ってきた」という事実を写真で表現する必要があります。

手元、後ろ姿、会議風景

顔が映らなくても、人間味を出すことは可能です。
例えば、インタビュー中の「手元のアップ(ろくろを回すようなジェスチャー)」、パソコンの画面を指差して議論している「背中越しのショット」、あるいは「ホワイトボードに向かって書いている後ろ姿」などです。
これらは「シズル感(臨場感)」を演出します。オフィスの会議室で、スーツを着た人間が実在し、御社の担当者と熱心に話している構図があれば、顔が見えなくても「捏造ではない」ことは伝わります。

エントランスや社屋の外観

人物が全くダメな場合は、クライアント企業の「エントランスのロゴ看板」や「受付」、「社屋の外観」を撮影させてもらいます。
「株式会社◯◯様の本社にてインタビューを行いました」というキャプションとともに、その会社の看板の写真を載せる。これだけでも、フリー素材の画像を使うより100倍の説得力があります。

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写真に頼れないなら「論理」と「数字」で殴る

ビジュアルでの訴求が弱くなる分、テキストコンテンツ(中身)の質を極限まで高める必要があります。感情に訴えるのが難しいなら、論理(ロジック)で説得するのです。

定性評価ではなく定量成果

「業務が楽になりました」「みんな喜んでいます」といったふんわりした感想(定性評価)は、顔が見えない記事では嘘くさく聞こえます。
その代わり、「残業時間が月20時間削減された」「CVRが150%向上した」「コストが年間300万円浮いた」といった具体的な「数字(定量成果)」を徹底的にヒアリングし、記載してください。数字は嘘をつきません。顔が見えなくても、数字というファクトが積み上がっていれば、BtoBの決裁者はその事例を評価します。

ドキュメントの実物を載せる

可能であれば、実際に使っている「画面のキャプチャ」や、現場で使われている「マニュアル」、あるいは担当者が書いた「メモ書き」などを撮影させてもらいます。
泥臭い現場のドキュメントは、その企業のノウハウが詰まった一次情報です。綺麗なポートレート写真よりも、使い込まれたシステム画面の一枚のほうが、導入検討者にとっては有益な情報になることさえあります。

完全に社名も出せない「匿名事例」の書き方

金融機関やセキュリティ関連など、社名すら出せない(A社様とするしかない)ケースもあります。この場合、記事が無味乾燥になりがちですが、ここにもテクニックがあります。

業界や課題の解像度を上げる

「製造業 A社」とするだけでは不十分です。「創業50年、従業員300名規模の自動車部品メーカー。旧態依然とした受発注システムに課題を抱えていたA社」というように、特定されない範囲で極限まで詳細な「属性(ペルソナ)」を描写します。
読者は「A社」という記号に共感するのではなく、「自分たちと同じ境遇の会社」という設定に共感します。抱えていた課題の描写(例:毎月末に経理担当が3人がかりで手入力していた、など)がリアルであればあるほど、社名がなくても「これはうちのための事例だ」と感じてもらえます。

制約こそがクリエイティブの源泉

「顔出しOK、実名OK」の事例がベストであることは間違いありません。しかし、BtoBの世界では、コンプライアンスの壁は常に存在します。
重要なのは、そこで「素材がないから適当なページでいいや」と思考停止しないことです。

顔が出せないなら手元を撮る。社名が出せないなら課題を深く掘り下げる。数字で証明する。
そうした「制約の中で、いかに真実を伝えるか」という工夫の跡こそが、読み手に対する誠意となり、信頼を生み出します。

CagraPRO(カグラプロ)の事例制作チームは、単なるライティングだけでなく、こうした取材交渉のアドバイスや、顔出しNG時の代替案の提示、そして現場でのディレクションまで一貫して行います。
「せっかくの導入実績を、Webコンテンツとして活かしきれていない」「事例ページを作りたいが、お客様への頼み方がわからない」。そのような悩みをお持ちでしたら、ぜひ私たちにご相談ください。

御社のクライアントが持つ「成功の事実」を、最も効果的な形でWebサイトに刻み込みます。

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タイトル:BtoB導入事例で「顔出しNG・実名NG」と言われた時の突破口。信頼を損なわない代替案と交渉術
ディスクリプション:導入事例インタビューでクライアントから「顔写真や社名の掲載NG」と言われた際の対処法を解説。広報を通した交渉術から、手元やオフィス風景を使った撮影テクニック、数字や論理で信頼を担保するライティング手法まで、制約下でも成果を出す事例制作のノウハウを公開。
スラッグ:anonymous-case-study-strategy

著者:清宮 雄(株式会社カグラ 代表取締役) マーケティング、ブランディングおよび企業経営の領域において20年以上の実務経験を有する。国内外にてIT事業および教育事業を展開。