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Webサイト制作

「ハンバーガーメニュー」はPCサイトでも採用すべきか?

近年、Webデザインのトレンドとして、PCサイト(デスクトップ表示)においても「ハンバーガーメニュー(三本線のアイコン)」を採用する事例が増えています。画面がすっきりと美しく見え、スマートフォンのUIに慣れたユーザーにとっても違和感が少ない、というのが主な導入理由です。

しかし、結論から申し上げます。

BtoB企業や、明確な成果(お問い合わせや資料請求)を目的とするWebサイトにおいて、PCサイトでの安易なハンバーガーメニュー採用は推奨しません。

デザインの「見た目」を優先するあまり、Webサイト本来の機能である「情報の探しやすさ(ファインダビリティ)」を損なっているケースがあまりにも多いからです。メニューを隠すという行為は、ユーザーに対して「探す」という余計な負担を強いることと同義です。

今回は、なぜPCサイトでのハンバーガーメニューが成果を下げるリスクがあるのか、UI/UX(ユーザーインターフェース/ユーザー体験)の観点から論理的に解説し、貴社のサイトが取るべきナビゲーション戦略についてお話しします。

メニューを「隠す」ことの致命的なデメリット

ハンバーガーメニューの最大の特徴は、クリックするまでメニューの中身が見えないことです。これは、スマートフォンのような限られた画面スペースでは有効な解決策ですが、十分な横幅があるPC画面においては、情報を隠蔽するデメリットの方が上回ります。

ユーザーは「見えないもの」をクリックしない

Web行動心理において、ユーザーは「そこに何があるか予測できないもの」に対してアクションを起こすのを躊躇します。画面上部に「会社概要」「サービス紹介」「導入事例」と明記されていれば、ユーザーは瞬時に自分の目的に合ったページへ移動できます。

しかし、ハンバーガーメニューのみの場合、ユーザーはまず「メニューを開く」というアクションを行い、中身を確認し、そこから選ぶという2段階の工程を踏まなければなりません。この「たったワンクリック」の手間が、Webサイトにおいては大きな離脱要因となります。Nielsen Norman Groupなどの権威あるUX調査機関の研究でも、デスクトップにおける隠れたナビゲーションは、可視化されたナビゲーションに比べてコンテンツの発見率を著しく低下させるというデータが出ています。

回遊率の低下と直帰率の上昇

PCサイトを閲覧するユーザー、特にBtoBの検討層は、情報を網羅的に収集したいというニーズを持っています。彼らは「サービス内容」を見た後に「会社概要」を確認し、「事例」を見てから「問い合わせ」をする、といった具合にサイト内を回遊します。

常にヘッダー部分に主要なメニュー(グローバルナビゲーション)が表示されていれば、ユーザーは無意識のうちにサイトの全体像を把握し、次の行動へスムーズに移ることができます。しかし、メニューが隠れていると、ページ遷移のたびにアイコンをクリックしてメニューを開閉する必要があり、このストレスが回遊を妨げ、結果として滞在時間の短縮や直帰率の上昇を招きます。

自社のサイトが「おしゃれさ」を優先すべきか、「使いやすさ」を優先すべきか迷っているなら、一度プロの視点でサイトの目的とターゲットを整理することをお勧めします。デザインの流行を追うことが、必ずしも正解とは限りません。

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PCサイトでハンバーガーメニューが許容されるケース

もちろん、全てのPCサイトでハンバーガーメニューが「悪」というわけではありません。目的と戦略によっては、採用しても良い、あるいは採用すべきケースも存在します。重要なのは「思考停止」で導入しないことです。

ブランディング重視で世界観を没入させたい場合

ファッションブランドや高級ホテル、あるいはアーティストのポートフォリオサイトなど、具体的な情報収集よりも「世界観への没入」や「映像・写真のインパクト」を最優先したい場合は、画面上のノイズ(文字情報)を極力減らすためにハンバーガーメニューを採用するのは有効です。

この場合、ユーザーの目的も「機能の比較検討」ではなく「鑑賞」や「ブランド体験」にあるため、多少の使い勝手を犠牲にしても、視覚的な美しさを優先する判断は合理的です。

メニュー項目が極端に多い、または少ない場合

ECサイトや大規模なポータルサイトのように、メニュー項目が数十以上に及ぶ場合、すべてをヘッダーに並べることは物理的に不可能です。この場合、「メガメニュー」としてハンバーガーメニュー内に整理して格納するのは、情報の整理整頓として機能します。

逆に、シングルページのキャンペーンサイト(LP)などで、メニューが2〜3個しかない場合は、あえてハンバーガーメニューにする必要もなく、ボタンとして配置すれば十分です。

成果を最大化する「ハイブリッド型」のナビゲーション

CagraPROが多くのコーポレートサイトやサービスサイトで推奨しているのは、PC画面の広さを活かした「ハイブリッド型」の設計です。

これは、「お問い合わせ」「資料請求」といったCVに直結するボタンや、「サービス」「事例」といった主要な導線はヘッダーに常時表示(グローバルナビゲーション化)させつつ、採用情報やニュース、プライバシーポリシーといった「優先度は下がるが必要な情報」をハンバーガーメニューやフッターに配置するという手法です。

レスポンシブ対応の「手抜き」をしない

制作会社によっては、開発工数を削減するために「スマホ用のハンバーガーメニューをそのままPCにも流用する」という提案をすることがあります。レスポンシブデザインのソースコードを共通化しやすいからです。

しかし、これは「制作者の都合」であり、「ユーザーの都合」ではありません。PCにはPCの、スマホにはスマホの最適なUIがあります。CagraPROでは、デバイスごとのユーザーの視聴態度や操作性を考慮し、PCでは一覧性を重視したグローバルナビゲーション、スマホでは操作性を重視したドロワーメニュー(ハンバーガーメニュー)と、明確にコードを書き分けることを基本としています。

この「一手間」を惜しまないかどうかが、運用開始後のCVR(コンバージョン率)に数パーセントの差として現れます。ビジネスにおいて、その数パーセントは決して無視できない数字はずです。

デザインは「飾り」ではなく「機能」です。流行しているUIだからといって、自社の顧客にとって使いやすいとは限りません。

特に決裁権を持つ経営層や、多忙な担当者をターゲットとするBtoBサイトであれば、彼らの時間を奪わない「即座に情報に辿り着ける設計」こそが、最高のおもてなしであり、信頼の証となります。

「かっこいいサイト」を作って満足するのではなく、「売れるサイト」を作るためのロジックを積み上げる。それが私たちの提案するWeb制作です。ナビゲーション一つで、ビジネスの成果は変わります。

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著者:清宮 雄(株式会社カグラ 代表取締役) マーケティング、ブランディングおよび企業経営の領域において20年以上の実務経験を有する。国内外にてIT事業および教育事業を展開。