Webサイトを新規に立ち上げた、あるいは長年放置していたサイトをリニューアルした直後、多くの経営者やWeb担当者が直面する残酷な現実があります。それは「どんなに良い記事を書いても、検索順位がつかない」という現象です。
渾身の思いで書いたサービス紹介文も、社長の熱い想いを綴ったブログも、Googleの検索結果では50位、あるいは圏外。アクセス解析の数値は「0」が並ぶ日々。これは、サイトの「ドメインパワー(ドメインの権威性)」がほぼゼロの状態にあるため、Googleからの信用が得られていないことが原因です。
ここで多くの企業が犯す間違いが、「ビッグワード」を狙い続けることです。「Web制作」「SaaS 営業」「人材紹介」。こうした月間検索数(ボリューム)が数千〜数万あるキーワードは、既にドメインパワーが強大な大手企業や老舗メディアが独占している「レッドオーシャン」です。生まれたばかりの赤ん坊が、横綱に相撲を挑むようなものです。
では、ドメインパワーが「0」の弱小サイトは、指をくわえて見ているしかないのか。いいえ、違います。戦う場所(土俵)を変えれば、勝機は十分にあります。
今回は、CagraPROが実践する、ドメインパワーに依存せず、確実にコンバージョン(CV)をもぎ取るための「弱者のためのキーワード戦略」を公開します。
検索ボリュームを捨て、「コンバージョンまでの距離」で選ぶ
ドメインパワーが弱い時期に徹底すべき鉄則は、「検索ボリューム(需要の多さ)」を無視し、「コンバージョンまでの距離(成約の近さ)」を最優先することです。
月間検索数が10,000あるキーワードで100位になるより、月間検索数が10しかないキーワードで1位になる方が、ビジネスとしての価値は遥かに高いのです。
ビッグワードは「悩み」が浅い
例えば「会計ソフト」というビッグワードで検索する人を想像してください。その人は、会計ソフトとは何かを知りたい学生かもしれないし、ただ業界動向を調べている競合他社かもしれません。あるいは、「無料のエクセルでいいや」と思っている層かもしれません。
つまり、検索ボリュームが大きい言葉ほど、ユーザーの目的(インサイト)はバラバラで、今すぐ契約したいという熱量は薄い傾向にあります。ここにリソースを割くのは、砂漠に水を撒くようなものです。
スモールワードは「悩み」が深い
一方で、「建設業 会計ソフト インボイス対応 比較」というキーワードはどうでしょうか。
検索ボリュームはおそらく月間10〜20件程度でしょう。しかし、これを検索する人は、「建設業の経理担当者」であり、「インボイス制度に困って」いて、「今すぐ導入を検討(比較)している」状態です。
このユーザーを自社サイトに呼び込むことができれば、高確率で問い合わせに繋がります。ドメインパワーがゼロの時は、こうした「悩み深く、母数が少ない」キーワード(ロングテールキーワード)を一点突破で狙い撃ちにするのです。
具体的に狙うべき4つの「勝ちパターン」
では、具体的にどのようなキーワードの組み合わせを狙えばよいのか。CagraPROが推奨する、初期フェーズで狙うべき4つのパターンを紹介します。
1. 「エリア」×「サービス名」の極地化
「Web制作 東京」では勝てません。範囲が広すぎるからです。しかし、「Web制作 港区 赤坂 BtoB」まで絞り込めば、競合は激減します。
ローカルビジネスであれば、「地域名」を入れるのは基本ですが、さらに「駅名」「町名」まで細分化します。BtoBであっても、クライアントは「近くですぐ相談できる会社」を探しているケースが多々あります。
「税理士」ではなく「税理士 新宿 創業融資専門」。このようにエリアと専門性を掛け合わせることで、ドメインパワーが弱くても上位表示が可能になります。
2. 「〇〇とは」ではなく「〇〇 手順 / 方法」
「SEOとは」という解説記事は、Wikipediaや大手メディアが上位を占めています。初期のサイトがここに参入しても勝ち目はありません。
狙うべきは、より実務的な「How to」です。「SEO 記事構成案 作り方 テンプレート」「WordPress 引っ越し 手順 プラグインなし」など。
具体的な手順や方法を探しているユーザーは、今まさにその作業で困っている人です。そこでプロとしての実用的なノウハウを提供できれば、「この会社は詳しい」「頼りになる」という信頼を獲得し、相談へと繋げることができます。
3. 「ニッチな悩み」×「解決策」
ユーザーは、必ずしも自社のサービス名を知っているわけではありません。彼らが検索窓に打ち込むのは、自身の「痛み(課題)」そのものです。
例えば、あなたが勤怠管理システムを売っているとして、「勤怠管理システム」で上位を狙うのは困難です。
しかし、「残業時間 計算 合わない 原因」「タイムカード 集計 ミス 対策」といった、現場の担当者が抱える具体的な悩みならどうでしょうか。競合他社が見落としている、こうした「悲鳴」のようなキーワードこそが、ブルーオーシャンです。そこに対して、「その悩み、システムならこう解決できます」とアンサーを用意するのです。
ここで、「自社のキーワードが見つからない」と悩んでいる方は、一度プロの壁打ち相手を頼ってください。御社のビジネスに潜む「お宝キーワード」を発掘します。
4. 「競合他社名」×「比較 / 代替」
これは少し攻撃的な戦略ですが、非常に有効です。業界のトップリーダーである企業のサービス名と一緒に検索されるワードを狙います。
例えば「A社(大手ツール名) 料金 高い」「A社 代わり 中小企業」。
すでに大手のサービスを知っているが、価格や機能で不満を持っているユーザー層です。彼らにとって、御社のサービスが「ちょうどいい代替案」として提示されれば、乗り換えの有力候補になれます。
※ただし、他社を誹謗中傷するのはNGです。あくまで「自社の優位性」を客観的に伝える記事にすることが重要です。
検索ボリューム「0」を恐れるな
キーワードプランナーなどのツールで調査すると、これらのキーワードは「月間検索ボリューム:0〜10」と表示されることがあります。多くのWeb担当者はここで「誰も検索していないなら、書く意味がない」と判断し、除外してしまいます。
ここに最大のチャンスがあります。
ツールの数字は「推定」に過ぎない
ツールの「0」は、本当にゼロではありません。「少なすぎて測定できない」だけです。実際には月に3人、5人が検索している可能性があります。
その5人は、極めて濃厚な見込み客です。競合他社が「ボリュームがないから」と無視している間に、御社だけがその5人に向けた丁寧な手紙(記事)を用意しておく。すると、5人のうち1人、2人が確実に問い合わせてくれます。
CagraPROは、「1万PVで0件の問い合わせ」よりも、「10PVで1件の問い合わせ」を評価します。ビジネスに必要なのはアクセス数ではなく、リード数だからです。
記事の「質」がドメインパワーを育てる
ニッチなキーワードを選定したら、次はコンテンツの質です。ドメインパワーが弱い分、中身で圧倒しなければGoogleは評価してくれません。
一人のユーザーへの「過剰なまでの親切」
ターゲットが絞られている分、書くべき内容は明確です。一般的な総論は不要です。その検索意図を持った「たった一人」が、読み終わった後に「助かった、これですべて解決した」と思えるレベルまで、深く、詳細に書き切ってください。
専門的な図解を入れる、独自の事例を載せる、プロとしての見解を断言する。
こうした「良質なコンテンツ」が蓄積されると、ユーザーの滞在時間が伸び、サイテーション(言及)が増え、結果としてGoogleが「このサイトは有益だ」と認識し始めます。これが、ドメインパワーが上がるメカニズムです。
地道な「局地戦」の積み重ねが、やがて王道になる
ドメインパワー0からの脱出に、裏技はありません。
誰も見向きもしないような小さなキーワードを拾い集め、一つひとつ丁寧に回答となる記事を配置していく。この地道な「局地戦」を制したサイトだけが、半年後、1年後にドメインパワーという資産を手にし、ビッグワードでも戦えるようになります。
「Web集客を始めたいが、大手のような予算もブランド力もない」。
そう嘆く必要はありません。弱者には弱者の戦い方(ランチェスター戦略)があります。
誰もいない裏道から確実に頂上を目指すルートを、私たちは知っています。
もし、最初のキーワード選びで躓いているなら、CagraPROにお声がけください。
御社の事業にとって、本当に価値のある「最初の10記事」を、戦略的に設計いたします。
著者:清宮 雄(株式会社カグラ 代表取締役) マーケティング、ブランディングおよび企業経営の領域において20年以上の実務経験を有する。国内外にてIT事業および教育事業を展開。